胃腸薬など薬の害
「飲み過ぎたり食べ過ぎたりしたら胃腸薬を飲めば良い」、と思っている方は多いものの、それは本当でしょうか。
飲み過ぎや食べ過ぎで胸焼けがしたり、胃がもたれたりして食欲がなくなるのは、体が、「これ以上お酒や食べ物を入れないで!」、と訴えている状態であり、体の防衛反応です。
にも関らず、それを無視して胃腸薬を飲み、症状を抑えて、さらにお酒や食べ物を入れることは、体を痛める行為に他なりません。
「若い時と比較して胃もたれしやすくなった、」という話もよく聞きますが、これは、年を取るにつれて体に必要なエネルギー量が減り、応じて消化吸収力が落ちているためです。理に適った傾向です。
CMでは胃腸薬メーカーが盛んに、「胃もたれ、胸やけには薬を!」と訴えていますが、それに乗っかって安易に胃腸薬を飲む行為は、わざわざ体に負担をかける行為です。
そもそも、胸焼けや胃もたれをするまで飲んだり食べたりすることが問題であり、たまの暴飲暴食であればまだしも、慢性的な胸焼けや胃もたれの多くは日頃の食べ過ぎが原因です。それに対しては何よりもまず、小食を心がけるべきで、薬の出番ではありません。
胸焼けや胃もたれが病気のサインの場合もありますが、その時は、病院で適切な治療を受けるべきで、市販の胃腸薬を飲んでいてはいけません。
せっかくの体の訴えを無理に抑えて、さらに食べ続けることは、内臓の疲弊や肥満を引き起こし、ひいては病気に繋がります。
また、下痢止めについても同じことが言えます。原因が食あたりにせよ、冷えなどによるものにせよ、安易に薬を飲んではいけません。
下痢も胸焼けや胃もたれと同様、体が受け付けないものを外に排除する防衛反応であり、自助作用です。
つまり、下痢の時に薬を飲むことは、せっかくのその自助作用を妨害する行為です。
大抵の下痢は食事を控えて安静にしていれば数日で治ります。それでも治らない場合は、何らかの病気が原因である可能性が高く、その時は、病院に行って診察と検査が必要です。
下痢止め薬は、「大事な仕事でどうしてもすぐにトイレに行くことが出来ない」、などといった状態の時にのみ活用しましょう。
そもそも人間には自然治癒力があり、その力を働かせるためには、体を休ませることが最も重要です。つまり、体が食べ物を受け付けない時は、絶食し、消化に要するエネルギーを全て治癒に向かわせることが大切なのです。
食欲は体が回復するにつれて徐々に戻ってくるもので、それに応じて少しずつ食事を採ることが良く、数日絶食してもなんら害はありません。何もしない事、放っておく事がスムーズな治癒の秘訣と言えます。
やがて治るのを待つのがもっとも体に優しく、人間本来のメカニズムに適っている行為であり、それを阻害するようなことをしてはいけません。
人間の体は想像以上に精巧に出来ています。普段からもっと体のサインに耳を傾け、それに応じた対応をすることが大切なのです。