原産国を把握するには?−原産国表示について
ここのところの中国製食品の安全性の問題で、食品を買う際、原産国を確認する方が増えたのではないでしょうか。
とはいうものの、「中国産は買いたくない」と考えて食品表示を見たとしても、必ずしも中国産かどうかを見抜くことはできません。
その構造を理解するには原産国表示に関する法律=JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)の内容を簡単に踏まえておく必要があります。
まず、JAS法では、大まかには、対象となる食品について、「生鮮食品として加工」し、「その割合が50%以上」ある材料については、単に製造地のみではなくその材料の原産地を表示する義務が定められています。(※詳しくは厚生労働省JAS法ページ:http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_gaiyou.html)
例えば、A国で釣った鯵を日本が輸入して鯵の開きを作った場合、製造地は「日本」ですが原産地である「A国」も表示しなければなりません。
これにより、「原産地がどこか」がわかるため安心して買い物が出来るということになります。
ただし、問題は例外があることです。
JAS法の例外とは、例えば、「冷凍野菜の詰め合わせ」の場合、袋の中が「ブロッコリー70%、にんじん30%」の場合、ブロッコリーが70%入っているため「50%ルール」により原産地表示義務が発生します。つまり、「ブロッコリー(原産地A国)」などと表示されます。
ところが、袋の中が「ブロッコリー40%、カリフラワー30%、人参30%とした場合、「50%ルール」が適用されないため原産地表示義務が発生しないのです。
その上、この「冷凍野菜の詰め合わせ」を国内工場で製造したとしたら,もはやこの野菜の原産地が国内産か海外産かを消費者が把握することは出来ないのです。
もちろんメーカーが自主的に表示することもありますが、あくまでも任意表示です。
つまり、「50%ルール」に該当しない食品については、原産地が分からないのです。
また、踏まえておくべき点として、対象は「生鮮食品」が中心ということがあります。
つまり、原産地表示義務があるのは「生鮮食品」で、これは、簡単に言えば「原形をとどめているもの」となります。
例えば、「冷凍アジフライ」は生鮮食品となりうるのですが、「冷凍餃子」は生鮮食品とはなりません。すなわち、冷凍食品やインスタント食品の多くは、原形をとどめていないもの(餃子、コロッケ、など)のため、原産地表示義務は発生しないことになるのです。
そのため、冷凍食品の工場が日本にある場合、たとえ原材料がすべて輸入品だとしても「国産品」となってしまうのです。
加えて、外食について言えば、原産国の表示は業界ガイドラインとして定められているにとどまっています。
そのため居酒屋などで原産地表示をしていなかったとしてもそれが直ちに法律違反とはならないのです。
とはいうものの、最近の食の安全・安心に対する消費者の意識の高まりを受けて、原産国表示を行っている外食チェーン店も多くなってきてはいます。
まとめとして、今の日本の自給率と法律や食品流通しシステムの現状から考えると、毎日口にする食品を「完全に国産」にするというのは相当難しいと言えます。
もし、本当に国産のみで生活したいのであれば、自給自足か信頼出来る購入ルートを探してそこから食品を手に入れるしかありません。
外食についても、本当に信頼のおけるお店のみを活用すべきです。
とはいうものの、そこまで徹底することは現実的に難しく、まず出来ることとしては、表示されている範囲で「中国産」と記載されている食品については、最低限購入しないことです。
さらなる対応については、一人ひとりの意識とこだわりに応じて選択していかざるを得ないと言えます。