アミノ酸をあえて摂取するのは間違っている
アミノ酸が騒がれ始めて久しいです。そろそろ下火になるかと思いきや、今でもテレビや雑誌でちょくちょく取り上げられ、薬局にはアミノ酸関連のサプリが並び、コンビニにはアミノ酸系飲料が幅を占めています。時々「アミノ酸って健康に良いんですよね?」と尋ねられますが、それは事実ではありません。
結論は、
「アミノ酸を飲んで痩せたり、健康になったりすることはない。」
です。
確かに、アミノ酸を摂取して運動をすれば、脂肪が減り筋肉が増えます。筋肉が増えれば、基礎代謝が上がり太りにくい体になるかもしれませんが、それはアミノ酸を摂取して痩せたというより、努力して運動した結果痩せたという方が正確です。単にアミノ酸を採って痩せた訳ではありません。
アミノ酸自体が悪いとは全く思いません。事実、アミノ酸は人間が生きていく上で必須となる大切な栄養成分でし。
問題は「アミノ酸が良い」=「アミノ酸さえ飲んでいれば健康になれる」、「痩せられる」という思考に陥ることです。
コンビニに行って「アミノ酸っていいんだよね〜。」とペットボトル飲料をごくごく飲んでいないでしょうか?市販のアミノ酸系清涼飲料水に含まれるアミノ酸の量などごくわずかです。それどころか、市販のアミノ酸系清涼飲料水の多くには、多くの糖分、それも血糖値の急上昇を招く果糖やブドウ糖が多く含まれています。
「私が選ぶのはカロリーオフと表記されてるから大丈夫!」ではありません。カロリーオフとは、厚生省が定めた「エネルギーに関する強調表示の種類及び基準」に沿った表示方法で、100mlあたり20キロカロリー以下のものを言います。例えば、100mlあたり20kcalのアミノ酸系清涼飲料水があるとします。これを500mlのペットボトル分飲むと100kcalとなり、コーヒーなどに入れるスティックシュガー(6g)の約4本の糖分が含まれた飲み物と同様のカロリーとなります。ダイエット中だからコーヒーに砂糖は入れないと言いつつ、アミノ酸飲料でスティックシュガー4本分の糖分を取っていることになるかもしれないのです。
そもそもアミノ酸とは、私たちがたんぱく質と呼んでいるものの構成物質で、簡単に言えば「たんぱく質」=「たくさんのアミノ酸がつながったもの」です。さらに詳しく説明するとたんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されていて、これらアミノ酸はバランスよく採らないと吸収されません。例えば、あるアミノ酸だけ飛びぬけて含まれていても、あるアミノ酸の含有量が極端に低ければ上手く体内で活用されないのです。(興味がある方はインターネットで「アミノ酸スコア」などと入れて検索するといろいろ説明が出てくるので、調べてみると良いでしょう)
例えば、たんぱく質というイメージが少ない小麦やお米にも実はたんぱく質が含まれているのですが、アミノ酸のバランスが良くないため、結局体の中で上手く活用されません。(蛇足ですが、大豆に含まれるアミノ酸にはお米に不足しているアミノ酸が多く含まれています。つまり、お米と大豆製品=お米と味噌汁や豆腐など、を一緒に採ることによって、たんぱく質が効果的に吸収出来のです。恐るべし!日本の伝統食!)
結論、アミノ酸をバランスよく摂取することは大切ですが、肉や卵、魚などの良質たんぱく質を頻繁に食べるようになった現代の日本人があえてたんぱく質(アミノ酸)を採る必要はないのです。スポーツ選手で筋肉をつけなければいけない人を除き、現代のアミノ酸摂り過ぎ傾向の日本人が、わざわざサプリメントでアミノ酸を摂取するのは意味がないと言えます。
テレビや雑誌、メーカーの「アミノ酸が良い!」をそのまま単純に信じていないでしょうか?一度振り返ってみましょう。