なぜ日本人の栄養失調が増えているのか?
現在、日本人には栄養失調の人が増えています。栄養失調と聞くと、戦時中の食糧難を連想し、「あり余るほど食糧があるのに、なぜ?」と疑問に感じるでしょう。ですが、戦時中とは異なる原因により、現代人にも栄養失調が増えているのです。
戦時中の栄養失調の原因は、主に食糧自体が足りないことによって引き起こされていました。ですが、現代の栄養失調は微量栄養素、つまりビタミンやミネラルが不足することによって引き起こされているのです。
私たち日本人は伝統的に穀類やいも類を主食とし、豆腐、魚介類、野菜や海藻類を中心に食べてきました。それが近年欧米型の食事に近づき、食料自体は十分すぎるほど摂取しても、それらを燃焼するために必要なビタミンやミネラルが不足するようになってきたのです。ビタミンやミネラルは、いわば摂取した食料を効率よく燃焼するために欠かせない栄養素です。それらが不足することによって、大量に摂取した食料が不完全にしか燃焼されず、その結果栄養失調となっているのです。
そのため、現代の栄養失調は昔とは比較にならないくらい複雑になっています。
かつては、壊血病の原因はビタミンC不足、脚気の原因はビタミンB1不足のように、単一の栄養素が欠乏することによって起こっていました。もちろん現代でもビタミンCが欠乏すれば壊血病になることに変りはありませんが、それ以外にもビタミンB1,食物繊維も不足している、といったように、いくつもの微量栄養素が同時に欠乏しているのです。よって、かつてと比べて解決方法も複雑化しているのです。
また、どの栄養素がそれくらい不足しているのかを調べる方法は現在まだ見つかっていません。そのため、不足した栄養素を補おうにも、何をどの位補えばいいのかが分からない状態にあるのです。
よって、「足りないものを後から補う」のではなく、栄養素が不足しないよう食べ物を選択し、調理することが重要となるのです。