ガンにならない食事
ある食物が発ガン性を持つかどうかを調べる実験の一つに「変異原性試験」というものがあり、変異原性を持つ食べ物を多量に摂取するとガンのリスクが高まるとされます。変異原性がプラスに働くものは陽性、逆に変異原性を抑制する働きがあるものは陰性、その中間は擬陽性とされ、陽性食品を摂取すればするほど発ガン率が高まるという説があります。
ではどういうものが陽性食品なのかと言うと、その代表は「加熱調理した肉類と魚類」です。加熱調理と言ってもその程度はいろいろありますが、高温・長時間になるほど陽性化の度合いが強く、低温・短時間ならば低くなります。つまり、モクモク煙を出して焼け焦げが出来るまでに焼いた魚に比べると、さっと煮た魚の方が、陽性化の度合いは低いのです。また、味噌漬け、塩漬け、干物、燻製などで保存した肉類や魚類も陽性度が高い食品です。ちなみに、加熱していない状態、つまり、刺身で魚を食べた場合は陽性でも陰性でもない擬陽性となります。
陰性の代表食品は?というと「野菜」です。実際、胃がん王国の秋田は、野菜が少なく焼き魚や肉が多い食生活の傾向があります。ただし、野菜も油炒めにすると陽性化食品に変わってしまうため注意が必要です。また、加工度の高い漬物なども陽性化してしまった食品です。他、陰性食品には「豆類」があります。大豆から作った豆腐も陰性食品になります。ただし、油による加熱で陽性化されてしまう油揚げは陽性食品です。同様に、長時間煮て砂糖や塩で濃い味付けした煮豆も陽性食品となります。
さて、擬陽性の食品は陽性でも陰性でもないため、ガン発病の観点からはあまり考える必要はありません。ちなみに、擬陽性の食品は、刺身の他、ご飯、納豆、海藻類、卵、蒸した魚や肉類などです。野菜もおひたしならば擬陽性になります。
ガンになるリスクを下げようと思えば、出来る限り陰性に傾いた食事をするのが良い訳ですが、そのためには、多くの野菜を摂ると良いのです。ただし、あまり加熱が過ぎない野菜料理を採らなければなりません。野菜炒めにする場合も、油を使わずステンレス多重層鍋を使って炒めれば陽性化は避けられます。また、魚や肉を食べる際も「生」か「蒸す」、もしくは、「さっと煮る」程度にとどめれば陽性化はしません。魚の干物はおいしいし、かつヘルシーなイメージがありますが、ガンリスクを減らしたいのであればあまり大量に取るべきではありません。
今回の陽性、陰性、擬陽性の話はあくまでも「ガンのリスクを減らす」という視点での話で、健食の基本から考えるとそこまで神経質になる必要はありません。とはいうものの、陽性化食品は「体の老化を促進する食べ物」と重なることから考えると、ガンなんて気にしない、というものの、「いつまでも若々しくありたい」のであれば少しは気に留めても良いのかもしれません。
いずれにしても食品には良い面悪い面の両方があります。健康に良いと信じて同じ食品を食べ続けると、その食品の悪い面を重ねて体に取り入れることになります。健食のコツは「多種多様」です。体に良いと思っても同じ食品ばかり食べ続けることは避けましょう。それさえ踏まえていれば、陽性の食品、陰性の食品、さほど気にしなくとも良いでしょう。