肉は利より害の方が大きい “肉の危険性”
年を取っても脳の機能を維持するには、ホモシステインのレベルを低く保つ必要があります。ホモシステインとは、有毒なアミノ酸で、たんぱく質の代謝作用に異常が生じたときに作られます。アルツハイマー病と深いかかわりがある他に、心臓発作や卒中、うつ病、失明とも関係しています。ホモシステインがわずかでも増えると、これらの病気にかかる危険性が大きく高まるのです。なお、沖縄の長寿者はそのレベルが世界最低と言われます。
誰もがコレステロールを持っているように、血液の中にホモシステインを持っています。問題はその分量で多くなり過ぎると様々な障害が発生します。一般に血中ホモシステインのレベルは、肉を食べる人は高く、葉物の野菜や全粒穀物、豆類、果物を中心に食べる人は低くなります。というのも、野菜や全粒穀物などは、ホモシステインを体内から排除する葉酸やビタミンBを供給してくれるからです。すなわち、このホモシステインを低いレベルに保つことが重要なのです。
2001年、「神経学ジャーナル」は、370人の健康な高齢者を3年にわたり調べた結果を掲載しました。その研究でわかったことは、葉酸とビタミンB12のレベルが少し低いだけでも正常レベルに比べたアルツハイマー病の罹患率は2倍になるということです。
では、血液中の葉酸のレベルが高く、ホモシステインのレベルが低いという理想的なシナリオは、植物性の自然食品を中心として、緑の葉の野菜とビタミンB12 を豊富に摂る食事で簡単に実現出来ます。なお、葉酸がその機能を効果的に発揮するためには、ビタミンB12が適切なレベルにあることが欠かせません。
そして、肉を食べる人は危険が高いのです。なぜなら動物性食品、特に肉は、ホモシステインを作るのを助ける働きがあるからです。ある研究では、たんぱく質の主な供給源として肉を食べている人は、菜食主義者に比べて認知症になる割合が3倍近くあったのです。
結論的には、肉の害と益のバランスを考えると食べないに越したことはないでしょう。
ただし、肉が食生活を豊かにしてくれている、という人は完全に止める必要もありません。「ほどほど」を大切に食べ過ぎないようにしましょう。
また、食べるときは出来る限り脂肪分を避けましょう。
なお、年を取ってからの肉食は体に良いと言う説もあります。そもそも70歳を越えてそれ程大量の肉を食べることもないでしょう。体が受け付ける範囲、自分が食べたいと思う範囲であればさほど神経質になる必要はないでしょう。