低血糖症とは?〜 栄養素と心身状態の深い関係性を示す代表的な疾患 〜
血糖値が高血糖と低血糖の間を乱高下する病気です。低血糖症が引き起こす症状は多岐に渡り、うつ病の多くの症状と類似するため、本当は低血糖症であるにも関わらずうつ病と診断されることがよくあると言われています。その場合、うつ病の治療を行ったとしても症状が改善されず治癒にも至らないということが起きるのです。
低血糖症の主な精神の症状
わけもない不安感、感情のコントロールが利かない、怒りっぽくなる、情緒不安定、焦燥感(あせりやイライラ)、落ち込み、極度の緊張、など
低血糖症の主な体の症状
疲労感、めまい、偏頭痛、食後の極度な眠気、生あくび、動悸、胃腸虚弱、むくみ、筋肉痛、左上腹部の痛み、日光がまぶしく感じる、口臭、アレルギー症状、など
低血糖症発症のメカニズム
低血糖状態の影響
脳のエネルギーが不足となり、うまく働かなくなるため、頭がボーっとする、集中力がなくなる、落ち着きがなくなる、無気力になるなど、の症状を引き起こします。
アドレナリンの作用
アドレナリンはホルモンの一種で、肝臓と筋肉に蓄えられていたグリコーゲンを糖に変換し、血糖値の上昇を促します。同時に、大脳を刺激し、怒りや不安などの情動も引き起こします。
また、自律神経を刺激し血管を縮小させるので、頭が締め付けられる、手足が冷たい、目の奥が痛い、場合によっては狭心症のような発作を引き起こします。動悸、手足の震え、発汗などを引き起こすこともあります。
ノルアドレナリンの作用
ノルアドレナリンは神経伝達物質の一つで、恐怖感、自殺観念、脅迫観念、不安感を引き起こします。
また、ノルアドレナリンの濃度の急上昇は脳での情報処理に不具合の原因となり、理性的な判断が出来なくなり発作的な感情を引き起こします。いわゆる「キレる」という状態になります。
低血糖症の原因
糖質の取り過ぎ
- 砂糖や精製された穀類の取りすぎ
アルコール、タバコ、コーヒーあるいはカフェイン含有飲料水の取り過ぎ
- アルコールは分解されてブドウ糖に
- カフェインは副腎を刺激して血糖値を上昇させる
過食
- 血糖値の上昇を招く
ストレス
- 副腎を疲労させる
ビタミン、ミネラルの不足
- ブドウ糖をエネルギーに変えるために必要
低血糖症の対策
原則は食事療法と運動です。低血糖症は、すい臓が疲れてインスリンの分泌が正常に行われないために発症することが多いため、すい臓を保護し、休ませるような食事が基本になります。
栄養療法では、主にプロテインやビタミンB、Cを摂るようにします。低血糖時に分泌されるホルモンは、たんぱく質をブドウ糖に変換して血糖値を上昇させるため、大豆製品などのたんぱく質を摂ることも必要です。その他、ビタミンBコンプレックス(複合体)を摂取します。ビタミンBはブドウ糖や脂肪が働くための補酵素であり、この摂取も非常に重要です。